【メディア】うたごえ新聞 第2489号にAn Episode from Taketori Monogatariの記事を掲載していただきました

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うたごえ新聞 第2489号 2016年10月17日に、

An Episode from Taketori Monogatariの記事を掲載していただきました。

音楽評論家 小村公次さんのご好評、大変ありがたいことです。

あらためて、栗山先生とるふらんの素晴らしい演奏に心より御礼申し上げます。

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「うたごえ新聞 第2489号 2016年10月17日〈聴く〉を楽しむ」より

34:古語と英語の絶妙な組合せ
小村公次 (音楽評論家)

合唱団るふらんの2016演奏会 (9月16日、紀尾井ホール) で中村ありすの委嘱新作「An Episode From Taketori Monogatari」の初演を聴いたが、これがすこぶる面白かった。
日本最古の物語といわれる竹取物語を題材にした作品だが、テキストが実に秀逸だった。というのも、原文の古語と英語のテキストとを組み合わせて作曲者が構成したもので、たとえばこんなふうである。
Four! 大伴の御行 He Became Crazy!
「竜の頸の珠」取りえずは帰り来な Couldn’t Get!
かぐや姫は四人目の求婚者大伴の御行に「竜の頸の珠」を持ってくるよう要求するが、無理難題とはこのことである。ところが結婚したい一心の御行は、単身船に乗り狂気のごとく探し求め、最後は明石の浜に漂流する。その目はスモモのように腫れ上がっていたという。それを”目が李 Sumomo Sumomo Sumomo あなたへがた”と締めくくる。
このように大伴の御行のクレイジーぶりを英文が簡潔かつ辛辣に表現しており、おもわず笑ってしまった。
それに古語を英文で反芻するような手法も効果的だった。それだけでなく、擬音語、擬態語、ささやき声やかけ声といったものを駆使し、生き生きとこの物語を語っていく音楽が実に新鮮だった。
女声合唱ということもあって、その響きはあたかも〈かぐや姫〉の内面を照らしだしているようで、第4章 What Is Loveと終章 Revealは英語だけだが、それが違和感なく響いていた。メンバーひとりひとりの声も実に闊達で、それを栗山文昭さんの指揮が純度の高い響きに練り上げていた。新作初演を聴いてこんなに楽しかったのは。久しぶりだった。

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